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2017.01.20
もっとも美しい中判一眼レフCONTAX 645を愛でる・使う
CONTAX 645は、京セラ・CONTAX唯一の中判一眼レフ。
その名のとおり、645判を採用したプロ用カメラです。
このカメラの最大の特徴はCONTAXならではの美しいスタイリング。
いまなお中古で非常に人気の高い、京セラ・CONTAXのカメラたち。
1975年のポルシェデザインによるCONTAX RTS以来、CONTAXのカメラはバウハウスの香りを感じるドイツならではの工業デザインを受け継いできました。
CONTAXとしては最終期にあたるCONTAX 645では、エッジの1つ1つまで気が配られたボディラインと質感あふれる黒、その中に映える白い刻印と、到達点とも呼べる美しさを実現しています。
まさに新品・中古を問わずかずかずのカメラの中でも最も美しい逸品。
いまでは中古でしか手に入らない伝説の中判カメラ。
中判カメラの女王としての風格をたたえている名機です。
さらに、中判カメラとして他のカメラを凌駕する機能を実現。
愛でるためのカメラとしても、実用のための道具としてもその魅力を味わうことができますよ。
そんなCONTAX 645の魅力について、中古カメラ専門店サンライズカメラのスタッフが紹介します。
目次
CONTAX 645
CONTAX 645は京セラ・ヤシカCONTAX唯一の中判一眼レフカメラ。
それではまず、CONTAX 645とはどんなカメラなのか見ていきましょう。
CONTAX 645の特徴・スペック
形式 | 中判一眼レフカメラ |
シャッター | 30秒〜1/4000秒(絞り優先時) 8秒〜1/4000秒(シャッター優先・マニュアル時) 縦走金属幕フォーカルプレーンシャッター |
レンズマウント | コンタックス645マウント |
露出計 | TTL開放中央重点測光 スポット測光 |
AE | 絞り優先AE シャッター優先AE |
AF | 有 |
ファインダー | 交換式 |
電池 | 2CR5リチウム電池 x1 |
発売年 | 1999年 |
CONTAX 645は1999年にCONTAXが送り出した645判の中判一眼レフカメラ。
美しい見た目だけでなく、スペックとしても最高級のものを備えています。
まず、数値に表れるスペックとしては、シャッター速度が中判カメラ随一のもの。
なんと最高1/4000秒の高速シャッターを切ることができるのです。
新品・中古を問わず、このスペックの中判カメラは他に例をみません。
35mmフィルムカメラに比べシャッターのサイズも大きくなる中判カメラでは、1/1000秒か、速くても1/2000秒までしかシャッタースピードを高速化しないのが普通です。
その点、CONTAX 645では35mmフィルムカメラ高級機に伍した高速シャッターに対応しているのです。
シンクロ速度も1/125秒で、フォーカルプレーンシャッター搭載の中判カメラとして最速です。
フィルムバックは交換式。
120フィルムと220フィルムに対応していますが、現在では220フィルムは入手できないため、中古では120フィルムバック付きのものを選びましょう。
ファインダーは交換式で、標準でアイレベルファインダーが装着されています。
ウエストレベルもありますが、カメラの性質上アクセサリーの中古価格は高めです。
CONTAXならではの専用AFツァイスレンズ
もちろんCONTAXのカメラとして、専用のツァイスレンズを使用することが可能です。
CONTAX 645が採用しているのは、このカメラ専用のCONTAX 645マウント。
デジタル時代を見据えて設計された独自マウントで、もちろんAF対応しています。
CONTAX 645の専用レンズは超音波モーター内蔵のモダンなスペックのもの。
最新デジタル一眼レフに勝るとも劣らない快適な使い心地で、オートフォーカスで中判カメラを使うことができますよ。
645のツァイスレンズは、京セラ・CONTAXのなかでも最も新しい時期のもの。
中古でしか手にはいらないのが惜しいくらいの超絶高性能は、このカメラでしかフルに活かせません。
中古の値段も張りますが、それだけの価値が確実にある銘玉揃いです。
ツァイスレンズの魅力については、こちらの記事でも紹介しています。
蜷川実花も愛用する美しいカメラ
さて、CONTAX 645を使っている写真家といえば、蜷川実花が真っ先に思い浮かびます。
写真のみならず日本のアートを代表する蜷川実花の鮮烈なイメージに負けない美しさが、このCONTAX 645には宿っています。
もしかするとCONTAX 645の日本国内での中古人気のかなりの部分が、蜷川実花の人気に由来する可能性さえあるのではないでしょうか。
ダイアン・アーバスのマミヤC330や森山大道のGR1など、写真家のイメージと強く結びついたカメラはいくつもありますが、CONTAX 645もまた、そんな伝説のカメラのひとつといえるのかもしれません。
もちろん、デザインそのものの美しさも中古人気の高さの大きな要因であることは当然です。
ドイツデザインの伝統を受け継ぐ漆黒のボディ。
もちろん見た目のデザインだけでなく、人間が使うための設計思想にも気を配っているので、手に馴染む操作感を存分に味わうことができますよ。
CONTAX 645とハッセルブラッドどちらを選ぶか
どちらもツァイスのレンズが使える中判一眼レフ、ハッセルブラッドとCONTAX 645。
この2つのカメラの中古で迷ったら、どちらを選べばよいのでしょうか?
6×6判と645判
まず、CONTAX 645とハッセルブラッドの最大の違いがフィルムフォーマット。
正方形の写真が取りたいならもちろんハッセルですが、645判でも6×6判でも構わない場合は、CONTAX 645もすんなりと使い始めることができると思います。
モダンな操作系とAF搭載。
現代のカメラならではの使いやすさで、存分にツァイスレンズを活かすことが可能です。
いっぽうハッセルは、カメラという「機械」を扱う感が非常に強く、まったく違う魅力があります。
価格
長く作られ、安いものから高価なものまで中古がよりどりみどりのハッセル。
それに対して、CONTAX 645は製造期間が短く、絶対的な製造数も少ないため、中古の価格は非常に高い部類です。
フィルムカメラの中古には値崩れするものも多い中で、CONTAX 645の中古相場は一定の水準を保っています。
さらに、ハッセルは安い個体ならレンズつきの中古が10万円以下でも手に入りますが、CONTAX 645はレンズ自体の中古価格もとても高いです。
しかしながら、そんな中古の値段であってもなお、それ以上の魅力があるカメラ、それがCONTAX 645。
美しさと、「最新の」中判ツァイスレンズ。
このカメラの実物を一度でも見たら、「いつかは」欲しいと思ってしまう。
それくらいのオーラのあるカメラであることは間違いありません。
関連記事:ハッセルについて詳しくはこちら
モダンデザインと道具としてのデザイン
デザインを基準に選ぶ場合、CONTAX 645とハッセルブラッドでは好みが分かれます。
CONTAX 645が好きな人は、バウハウスやミッドセンチュリーの家具のような、モダンデザインを好む人。
無駄のないデザイン、ミニマルなデザインを好むなら、CONTAX 645を選んで間違いないでしょう。
いっぽうでハッセルブラッドは、ある種マッシブな「写真を撮るための道具」としての外観を持っています。
「物としての」CONTAX 645を愛でる。
デザインやアートが好きな方なら、CONTAX 645に一瞬で魅了されること間違いありません。
CONTAX 645を愛でる・使う
実用のカメラとしてのスペック、そして見た目の美しさ。
CONTAX 645はそのどちらも兼ね備えた、ある意味理想のカメラと呼べるかもしれません。
撤退によりCONTAXの中判カメラはこの1台で終わってしまいましたが、オートフォーカスでツァイスが使える美麗なカメラ、という魅力は永遠に消えることはありません。
いまでは中古でしか手にはいらないので、状態の良い完品はこれからどんどん減っていくことでしょう。
実用の道具としても完璧な特徴をもつこのカメラ。
ぜひ、このCONTAX 645を手元においてみませんか?